なぜゼロ年代に惹かれるのか

ゼロ年代研究会アドベントカレンダー6日目の記事です。

 

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今回のアドベントカレンダー企画では、何故ゼロ年代に興味を持っているのか、というごく個人的な話をしたい。早い話が自分語り、というやつである。

なぜゼロ年代が重要なのであるか、という研究に関する話はゼロ年代研究会会誌である『リフレイン』にまとめたので、そちらをお読みいただきたい。

 

簡単に言えばゼロ年代と呼ばれる時代の終わりから10年以上が経ち、同時代的な観点からだけでなく、歴史として、過去の文化としてゼロ年代を捉えて総括してもいいのではないか、ということを「オタク」というものを例に先行研究を交えながら述べたものである。

 

では本題に入ろう。

私は2002年(2月)の生まれである。なのでいわゆるゼロ年代、とくくられる時期の記憶もほとんどないか断片的なものしかない。

ざっと思いつく生まれた2002~2010年の私的でないようなゼロ年代っぽい(?)記憶といえば、千葉ロッテマリーンズの05、10年シーズンと二度の日本一(自分が千葉出身で当時父親が野球をよく見ていたためであろう。)、ウルトラマンメビウス仮面ライダー電王が面白かったという記憶、あとはたぶんリーマンショックだったであろうが、テレビやラジオで不景気だというような暗いニュースが流れていたくらいしか思い出せない。

 

間違いなく生きてるはずなのだが記憶があまりない、幼少期の記憶など大抵の人はそういうものであると思うが、私とゼロ年代というのはそういう距離感なのである。

 

そんな自分にとって近くて遠い時代、というのはいつしか興味関心の対象となっていた、今自分が生きてる現在よりちょっと昔に何があったのか、どんなものが流行っていたのか、そういう知識的なことはもちろん、純粋に現在生み出される新たな作品を鑑賞すると同時に、昔の作品を見たいという思いも同時に持っている。

そういう思考になったのは自分が中学生くらいまであまりインターネットやアニメに触れず、かといってずっとテレビやYouTubeを見ていたかというとそうでもない生活を送っていたため、同世代に比べてアニメやマンガ、動画やテレビなどを見たり読んだりしてこなかった、情報を得てこなかったことに負い目ではないが劣等感のようなものを感じており、そういうことも何かしらの原因として挙げられるかもしれない。

深夜放送のアニメを見始めたのも2016年春クールからであるし、携帯(スマホ)を持ったのも中学卒業後(2017年)である、ましてやファッションや芸能に関する話題に対してアンテナを張っていることもしていなかったため、(今もしていないが)自分がもしインターネットに接続できる環境があったかもしれない2010年代前半のインターネットについても、当然それ以前のことについてもよく知らないのである。

よく知らないから知りたい。今につながる何かが過去にあるはずだからそれを解き明かしたい、という興味関心、好奇心が自分にとってのゼロ年代に興味を惹かれる原動力なのかもしれない。

それと同時に自分がアニメ作品であったり、ギャルゲやエロゲなどと呼ばれるシナリオゲームが好きであるため、そのような作品や作品を対象とした批評が盛り上がったゼロ年代に興味がある、ということもひとつの惹かれる原因であると思っている。

 

最後にゼロ年代とは関係ない話にはなるが、最近ではゼロ年代だけでなくそれ以前やそれ以降の時代についても興味がある。方向性として、戦後文化、特に70、80年代以降の文化についてやメディア史的な方向であろうか、そういう方向にも興味が向いている。ゼロ年代を掘っていたらいつの間にかもっと前までさかのぼりたくなってしまった、そう言ってもいいのかもしれない。

もともと歴史や文化といったものが好きであったのでこういう流れというか行きつく先がここになるのはなんとなくわかっていたような気がするが、自身の興味関心を深堀りしていった先にまた新たな興味関心がわくようなものが出てくるというのはとても喜ばしいことなのかもしれない。