ガッツリネタバレ シン・ウルトラマンの簡単な元ネタ解説と個人的な感想

はじめに

どうも、みやまです。

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特撮を若干たしなんでいた人間として、シン・ウルトラマンを見て、特撮の知識とか全然ない、どこがおもろいのかわからん!という人向けにこういうところが面白かった!!という話と感想をふせったーにでも流そうかなと思いましたが分量も多いしブログ記事にしたほうがわかりやすいなと思ったのでブログにします、人がどのくらい特撮に関する知識があるかわからないのでとりあえず個人的に面白かったところとか、オマージュがわかったところとかを解説して最後に感想を書きました。

 

 

 

個人的に面白いな!!とかここってこれのオマージュでしょ!と思ったところの解説

 

まんま『ウルトラマン』のタイトルのオマージュ、『ウルトラマン』(以下原作)では『ウルトラQ』のタイトルが出た後に「ウルトラマン」の字が出る

 

  • 最初の方の「巨大生物出現!」からのアバンっぽいところ

出てくる怪獣(禍威獣)が『ウルトラQ』作品の怪獣なので完全にウルトラQオマージュ、人間だけで頑張る所もウルトラQ、上手く禍特対設立に持っていったと思う。原作の科特隊(科学特捜隊)は世界的な組織で本部はパリにある設定なので、そこが相違点

 

ウルトラ作品のテンプレ、ウルトラマンと融合するか、やってきたウルトラマンが人間に擬態するかのどちらかが多い。本作では子供を守って死んだ神永の自己犠牲精神と申し訳なさで融合した、という話になってるが、原作だと飛来したウルトラマンと主人公であるハヤタが乗る飛行機が衝突してなんかごめん!融合して命は助かるようにするわ!みたいな流れだった記憶がある。(かなり適当)自己犠牲の精神に感動して、みたいな文脈は『ウルトラセブン』っぽさは感じた。

 

  • 出てくる外星人のチョイス

ザラブとメフィラスってウルトラマンシリーズの中でも割と何回も出てきてる胡散臭さランキング上位の星人なんですよ、ちなみにザラブがにせウルトラマンになる話は原作でもあるし、映画版メビウスでもにせメビウスになったり割と出てくる時点でなにやるか予想はつく奴なんすよね、メフィラスも同様に嫌な奴で武闘派じゃないんだけども地球征服を狙ってくるやつです。

 

メフィラス星人がやったやつ、原作でもメフィラス星人がヒロインのフジアキコを巨大化させます、なんか他のシリーズでも別の悪役がヒロインを巨大化させるみたいなのがあった気がする。

 

 

基本的にスペシウム光線しか有名じゃないけど、割と八つ裂き光輪(なんか投げてた気円斬みたいなやつ)惜しみなく使ってたところはいいなと思った、オタクは八つ裂き光輪好きなので

あとスペシウム光線のエフェクトが原作っぽさを出したエフェクトになってたのもよかった。

 

これは知ってるかもしれないけどゾーフィはウルトラマンゾフィーと原作のラスボス、ゼットン

原作の最終決戦は(別に自立兵器ではない)ゼットンが飛来して、ウルトラマンが迎撃するけどカラータイマー割られて仮死状態になって、最終的に科特隊で作った新兵器でゼットンを倒すという話の内容で、結構科学信仰的な面がある。ゾフィーは仮死状態になったウルトラマンを救うために飛来してハヤタとウルトラマンに命を分け与えてハヤタとウルトラマンを分離させ、マンを光の惑星に連れて帰った。原作ではゾフィーは別に人間を滅ぼそうとしてないし、むしろ人間を見守ろう、みたいなこと言ってた気がするし、特に地球人に過剰に接触した罰とかはなかった気がする。ちなみにゼットン一兆度の火球とか、八つ裂き光輪をはじくのは原作準拠。

 

  • ゾーフィの「人間は我々と同じような生命体になるかもしれない」みたいな発言

ウルトラマンシリーズの設定として、もともとM78星雲(ウルトラマンの故郷)は人間と同じような生命体で高度に発達した科学技術を持った星であったが、ある時自前の人口太陽が暴走して、突然変異的にウルトラマン(光の戦士)になった、という設定がある、本作の言及ではベータシステムと科学技術の発展で数万年語には我々のようになる、という趣旨の発言だろうが、この設定を知ってるとニヤリとしてしまうポイント

 

気づいた小ネタ

 

  • 小物とかデザイン

禍特対のバッジとかベータカプセルとか、怪獣のデザインとか、元ネタがわかる人にはわかるように配置されているところがオタクっぽいというかマニア向けというか、そういう細かいところまでこだわっているんだなって思った。

 

 

  • 滝の机の上のプラモとか

ちゃんと見てなかったけどサンダーバードっぽいのは視認できた、あとはたぶん東宝怪獣映画の兵器とかだと思う、知らんけど

 

  • 禍特対の電話の着信音

どのシリーズのかはわからないけど、ウルトラシリーズ地球防衛軍的な立ち位置の組織の電話とか無線の着信音と同じ。

 

  • BGM

一部、ウルトラシリーズBGMとかを使っていた。禍特対の出動命令の際に、原作の出撃シークエンスのBGMが使われていた気がする。

 

 

雑多な感想

まんま『ウルトラマン』だなと感じた。特に最後の方は台詞も原作と同じだったり似たようなものが多く、人類に対する希望と可能性を提示した原作とその展開を踏襲して上手く二時間半にエッセンスとメッセージをまとめた映画だと思う。やはり庵野秀明、映像作品作りが上手い。

最後のゼットン戦はシンゴジみたいに人類の力によって倒すのか、原作通り科学の力で倒すのかと思いきや割とウルトラマン頼みで(無論人類も貢献はしたが)、共生や共存といった意識やテーマが根底にあるのではないかと感じた。また、原作と違って「光の国の使者」であるゾーフィ(ゾフィー)が人間を抹殺すべき対象として認識している、というのも面白かった、ザラブやメフィラスなどがまどマギのキュゥべぇじみたことを言うのは分からなくないが、それをゾーフィが言うというところに無条件で人間と進歩を讃美していた原作放送当時の世相との違いがあるのではないかなどと考えていた。最終的にウルトラマンの心意気に打たれて人類を滅ぼすのを思いとどまる展開が、少し昔の作品のテンプレのようで、少し古臭いと感じると同時にまだこのように人類の可能性と未来を称揚していいんだな、まだまだ人間の可能性を信じてみてもいいんだな、と感じた。庵野作品はそういった人間の可能性を喚起させるのが上手いというかそういうメッセージ性が強調されるような作家だなと感じた。

やはり「ウルトラマン」であるためウルトラマンという存在を通しての人類や人間についての物語であり、シンゴジラ的な困難に立ち向かう人々を描きつつもやはりデウスエクスマキナ的存在であるウルトラマンに頼ってしまうのがより人間的で好感が持てた。

同監督作品のシンゴジラはある意味戯画的というか、頼るべきものがないからこその強さと火事場の馬鹿力を描いた作品だと思っている。だからこそ見ていて面白いし一人一人のキャラが泥臭く足掻く姿が共感を呼び人気なのだろう、対するシンウルトラマンウルトラマンが主人公であり、困難や怪獣に打ち勝つ物語ではなく、人間とは何か、正義とは何か、強大な力を持つものとしての責務は何か、というような話がメインであり、抽象的なヒーローの話であるため、そこまで面白くなかったのかな、と感じた。

小ネタ等々恐らく見落としている部分が多すぎると思うしたぶん見ていてもわからないネタや物が多すぎると思うので、改めて識者の解説を聞きながらみたいなとは思った。こういう細かいところまでこだわる庵野の特撮愛と映像作品へのこだわりを感じた。

映像としては、メフィラスと神永の対話シーンや日常風景を映すシーン、カットがアオリの多用やカットの短さなどかなりラブ&ポップのカットやレイアウトに似ている感じがした、そのほかのシーンでも、登場人物視点でのカメラワークなのだと推測されるが、顔の正面から撮った映像が印象的であった。恐らくシンゴジラなどでは見られなかった画角であり、アニメ的というかどこか実写映画的ではないような気分になった。

総じてけなすほど面白くないわけではないが、手放しで称賛するほど面白い作品でもない、という感想である。庵野的視点からオマージュを多用したウルトラマン庵野ウルトラマン。それ以上でもそれ以下でもない作品だった。